昨日、線状降水帯による大雨のレベル5が近くで発令され、今もまだその生々しいざわめきと緊迫感が残る空気の中で、この文章を書いています。
窓の外を見つめながら、あるいは泥の掻き出しに追われながら、「これからどうなってしまうんだろう」と、先の見えない不安に胸が締め付けられている方も多いのではないでしょうか。
目の前が泥に染まり、途方に暮れてしまうような極限状態の中では、行政の分厚いマニュアルや無機質な手続きの案内を見る気力なんて、到底湧かないはずです。けれど、これからの暮らしと生活を自分の手で立て直すために、どうしても避けて通れない大切な第一歩があります。それが「罹災証明書」の存在です。
心が折れそうな時だからこそ、まずは一度大きく深呼吸をして、お手元のスマートフォンを取り出してください。家の中や外の片付け、あるいは修理の業者を呼ぶその前に、必ずやっておかなければならないことがあります。それは、壊れてしまった壁、剥がれた床、そして家具まで達した浸水の跡を、いくつかの角度から写真や動画にしっかりと残しておくことです。
行政の調査が入る前に片付けてしまったり、写真の記録がなかったりすると、実際の被害よりも軽く見なされてしまうリスクがあります。この「記録を残す」という行為こそが、あなたのこれからの生活を守る最初の、そして最も強力な盾になるのです。罹災証明書は、火災保険の保険金請求だけでなく、これからの暮らしを支えるあらゆる行政手続きの、すべての土台となります。
行政の窓口へ動いたあと、見据えておきたい3つの公的支援
自治体の窓口へ足を運ぶか、オンラインで申請を済ませたら、次にご自身の安心のために知っておいてほしいのが「3つの公的支援」です。国や自治体の制度は、残念ながらじっと待っているだけでは手を差し伸べてくれません。「知っている人」だけが救われる仕組みになっています。
- 住まいの確保と緊急的な応急修理 もし今の家に住み続けることが難しくなった場合、自治体が提供する公営住宅の活用や、日常生活に最低限必要な部分の緊急的な修理費用が補助される制度があります。
- 税金や公共料金の減免・猶予 所得税や住民税、国民健康保険料などの減免措置のほか、電気・ガス・水道といったライフラインの支払い猶予を受けられるケースが多くあります。
- 被災者生活再建支援金 家屋に一定以上の大きな被害を受けた世帯に対して、これからの生活を立て直すためのまとまった支援金が支給されます。
「私には、これだけの支援を受ける権利があるんだ」と心に留めておくだけで、目の前の絶望感の中に小さな光が見えてくるはずです。
もう一つ忘れてほしくない、あなたの「体と心」の健康
そして、行政手続きと同じくらい、あるいはそれ以上に強くあなたにお伝えしたいのが、ご自身の「体と心」の健康についてです。
災害直後の混乱の中、アドレナリンが出ていて痛みや疲れに気づきにくい状態になっていますが、泥の片付けや家屋の復旧作業に夢中になるあまり、衛生面のリスクを軽視してはいけません。浸水した泥の中には数多くの雑菌や破傷風菌が含まれています。作業の際は、必ず長靴や厚手のゴム手袋、マスクを着用してください。もし皮膚に小さな傷があり、そこから雑菌が入ると、思わぬ重症化を招く恐れがあります。
また、もし常備薬を流されてしまったり、お薬手帳を紛失してしまったりした場合でも、過度に心配しすぎないでください。災害時には多くの医療機関や薬局で柔軟な配慮がなされ、保険証がない状態でも適切な診察や処方を受けられる体制が整えられています。「これくらい我慢すればいいか」と体調不良を放置せず、少しでも異変を感じたら、ためらわずに医療機関へ相談してください。あなたの健康を守ることこそが、すべての復旧の土台なのです。
今はただ、明日がどうなるのか見えなくて、心も体もすり減っていることと思います。けれど、行政のサポートも、医療の差し伸べる手も、あなたを助けるために必ず用意されています。
どうか一人で抱え込みすぎず、ご自身の心と体を一番に労りながら、今日できること、目の前にある小さな一歩だけを、ゆっくりと重ねていってください。


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