歯が長くなったように見えるのは、歯ぐきが下がっているからかもしれません。歯肉退縮の原因、歯周病との関係、歯磨きの力加減、歯科医院で確認したいことを歯科医師が解説します。
鏡を見ていて、ふと「前歯が以前より長くなった気がする」と感じたことはありませんか。
歯と歯の間のすき間が目立ってきた。歯の根元が見えるようになった。冷たい水や歯ブラシの刺激がしみる。
こうした変化は、年齢を重ねるなかで気づくことがあります。しかし、すべてを年齢のせいにしてしまうのは考えものです。
歯が長く見える原因の一つに、歯ぐきが下がる「歯肉退縮」があります。
歯科医師として大切だと感じるのは、見た目の変化だけで判断せず、なぜ歯ぐきが下がっているのかを確かめることです。
歯が伸びたのではなく、歯ぐきが下がっている?
通常、歯の根元は歯ぐきに覆われています。ところが、歯ぐきの位置が下がると、これまで隠れていた部分が見えるようになり、歯が長くなったように感じます。
この状態を歯肉退縮といいます。
歯ぐきが下がると、歯の根元が露出して冷たいものがしみたり、歯と歯の間のすき間が目立ったりすることがあります。
また、露出した歯の根元は、歯の頭の部分とは構造が異なります。そのため、根元に虫歯ができる「根面う蝕」にも注意が必要です。
ただし、歯が長く見えるという変化だけで、歯周病と決めつけることはできません。原因を見極めることが第一歩です。
歯ぐきが下がる原因は、年齢だけではありません
歯ぐきが下がる背景には、いくつかの要因が考えられます。
1.歯周病によって歯を支える組織が失われる
歯周病が進行すると、歯ぐきだけでなく、歯を支える骨にも影響が及ぶことがあります。
歯ぐきの腫れや出血が目立たなくても、歯周病が進行している場合があります。痛みがないことだけで安心せず、歯周ポケットの深さや歯を支える組織の状態を確認することが大切です。
2.歯磨きの力が強すぎる
汚れをしっかり落とそうとして、歯ブラシを強く押しつけていませんか。
強い力で磨き続けることは、歯ぐきを傷つける一因になる場合があります。大切なのは力任せに磨くことではなく、歯と歯ぐきの境目に毛先を適切に当て、磨き残しを減らすことです。
歯ブラシの毛先がすぐに開いてしまう場合は、力を入れすぎていないか見直してみましょう。
3.歯並びや歯にかかる力などの影響
歯の位置や歯ぐきの厚さ、噛み合わせ、歯ぎしりなども、歯ぐきや歯を支える組織の状態を考えるうえで重要です。
ただし、これらの要因がすべての歯ぐき下がりに当てはまるわけではありません。複数の要因が関係している場合もあるため、自己判断で原因を一つに絞らないことが大切です。
歯ぐきが下がったとき、今日から見直したいこと
歯ぐきが下がっていることに気づいたら、まずは毎日のケアを見直しましょう。
歯ブラシは、強く押しつけずに磨く。
毛先が歯面にきちんと当たるようにし、小刻みに動かしながら丁寧に磨きます。歯ぐきをゴシゴシこする必要はありません。
歯と歯の間の汚れも確認する。
歯ブラシだけでは届きにくい部分には、歯間ブラシやデンタルフロスが役立ちます。ただし、歯間ブラシはすき間に合ったサイズを選ぶことが重要です。無理に押し込まず、サイズが分からない場合は歯科医院で相談しましょう。
歯がしみる場合は、原因を確かめる。
歯ぐきが下がって根元が露出していることもありますが、虫歯など別の原因が隠れている可能性もあります。しみる症状が続く場合は、自己判断で済ませずに診察を受けましょう。
なお、すでに下がった歯ぐきが、毎日の歯磨きだけで元の位置に戻るとは限りません。セルフケアの目的は、汚れを取り除き、歯ぐきの健康を保ち、問題の進行を防ぐことです。
歯科医院では何を確認するのでしょうか?
歯ぐきが下がってきたときは、歯周病の有無、歯周ポケットの深さ、歯を支える組織の状態、歯磨きの方法などを確認します。必要に応じてレントゲン検査などを行い、歯を支える骨の状態を調べることもあります。
原因によって、必要な対応は変わります。
歯周病が関係していれば、その進行を抑えるための治療やセルフケアの改善が必要です。歯磨きの方法が影響していれば、歯ブラシの選び方や力加減を見直します。
歯ぐきが下がったからといって、すぐに歯を失うという意味ではありません。大切なのは、今の状態を正しく知り、必要な対策を始めることです。
特に、歯がぐらつく、歯ぐきから繰り返し出血する、腫れが続くといった変化がある場合は、早めに歯科医院へ相談してください。
40代・50代からこそ、歯ぐきの変化に目を向けたい
年齢を重ねると、歯そのものだけでなく、歯を支えている歯ぐきや骨の状態にも目を向ける必要があります。
鏡を見たときに歯が長くなったように感じたら、それを単なる老化と決めつけないでください。
歯ぐきが下がる原因は一つではありません。だからこそ、自分の状態に合ったケアを知ることが、これから先も自分の歯で食べるための第一歩になります。
歯は、失ってから大切さに気づくことの多いものです。小さな変化を見逃さず、日々の予防と定期的な歯科受診を続けていきましょう。
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歯ぐきが気になる方は、歯ブラシの選び方も見直してみましょう
歯ぐきが下がってきたと感じる方は、歯ブラシの毛の硬さや、磨くときの力加減を確認してみてください。強く磨けば汚れがよく落ちるというわけではありません。
歯ブラシを選ぶ際は、自分の口の状態に合ったものを選ぶことが大切です。歯ぐきの状態や磨き方に不安がある方は、歯科医院で相談してみましょう。


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